アンコーナのFerrettiグループスーパーヨット造船所メタルスーパーヨット部門に、オーダーメイド哲学を表現するエグゼクティブオフィスとホスピタリティエリアを新設。
新施設の設計デザインはオーダーメイド、イノベーション、突出した職人技を特徴とするメタルスーパーヨット造船所のコンセプトを基に展開。
2024年7月18日アンコーナ – 新しいFerrettiグループメタルスーパーヨット部門のエグゼクティブオフィスはラグジュアリーヨット業界のベンチマークでありグループのマルチブランド製造ハブであるアンコーナ造船所をアップグレードするプロジェクトの一環です。ここではCRNのメタルスーパーヨットと60mから90mまでのメガヨットの設計・建造が行われる他、複合素材の30mから43mのCustom Lineオーダーメイドライン全船、50m以上のRivaスーパーヨット部門、Custom Line 50、Pershing 140といった総アルミニウム製のブランドのフラッグシップとなるスーパーヨットが製造されています。この戦略的製造拠点はノウハウやヨットの設計において最先端を行き、CRNのDNAに刻みこまれた最高レベルのリサーチ、イノベーション、専門知識、職人技の価値が息づいています。
Ferrettiグループアンコーナスーパーヨット造船所の再開発プロジェクトは2016年の製造現場から始まり、次に管理棟とホスピタリティエリアに取り掛かりました。最初の5年間で最先端テクノロジーと快適なエネルギーシステムを備えた巨大作業場が7つ建設されました。各棟すべてに冷暖房、空気排出、太陽光発電、特別な製造システムを備えています。
造船所の戦略的拡張プロジェクトは2023年12月、Ferrettiグループメタルスーパーヨット部門用の新管理ビル建設から始まりました。
新しい建物は約4,200㎡、150名以上の従業員を収容します。会社のアイデンティティ、歴史、ノウハウを結集し、快適な職場に美しさ、機能性、持続可能性を組み合わせた革新的で非常に認識しやすい建築物となりました。新空間の構成と装飾はエレガンス、洗練性、専門知識にあふれ、オーナーやゲストの方々には最初のミーティングから完成に至るまでのプレジャーボート創造の旅に没入した体験をしていただけるようになっています。
デザインインスピレーションの基となったものが2つあり、一つはイタリアの美学、機能性、快適性、高級素材、最高レベルのオーダーメイドクオリティなどプレジャーボートの特性を反映するCRN メガヨットのような造船所にするということ。もう一つがアンコーナという町との結びつきを深め、地域のプロモーションとなるランドマークにしたいという願いでした。
これによりマルケ州都の最中心部、観光マリーナや商業港への玄関口など周囲の環境と効果的に統合する前衛的な建設プロジェクトになりました。
建物のファサードは、屋外スペースとのつながりやマルケ州都を訪れる人々の目に留まるシンボルになり得る大切な要素です。
ロケーションとその色使い、周囲との関係などを徹底的に研究し、スティールの抽象的幾何学的建築デザインや大きなガラスの透明性、柱のマリンカラーの色調のインスピレーションを得ました。建物の素材や色は周りの生態系を再現・増幅するもので、 “垂直的風景”との表現がぴったりのものとなりました。
FERRETTIグループメタルスーパーヨット部門のエグゼクティブオフィスと
ホスピタリティエリア
メタルスーパーヨットおよびメガヨットのために働く全ての経営陣、エンジニアリング部門、製造部門、プロジェクト管理チームを擁するFerrettiグループメタルスーパーヨット部門の新しい管理・ホスピタリティ棟は2023年12月に竣工しました。これは2002年にCRNがFerrettiグループと共同で買収したMorini造船所の古い建物跡地に建設したものです。
新しい建物は1970年代の2,800㎡2階建て、2棟の長方形コンクリートビルであったものを拡張して再建したものです。2019年に着工した新ビルは3階建てで総面積約4,200㎡。古い建物の一部を解体して約1,500m2部分を改装、垂直方向に2つの新フロアを追加し、約1,700 m2のスティール製片勾配を設けました。.
このプロジェクトに際して屋内外に使う素材を徹底的に研究し、例えばスティールのような高級素材は非常にデザインの自由度がありながら建築には長い間使われてこなかったものです。実際には18mのビームや高さ10mのスティールとコンクリート製の柱など300,000kgのスティールとスティール構造が使われ、可変波動カーテン効果のあるFerrettiグループのためにカスタムデザインした金属グリッドシステム、ファサードと窓に1,000㎡のガラス、木目調樹脂クラッディングとして800㎡の木材も使われています。
建物に入るとまず大理石仕上げ、スティール構造の印象的なカスタムデザインの階段が目に留まり、荘厳なガラス張りのエントランスから3つのフロアにつながります。この階段は古い建物とは完全に切り離され新しいスティール構造で吊り下げられた建築学的に複雑な作りとなっており、優れたエンジニアリングとディテールへのこだわりが見て取れます。
職場の快適性と持続可能性を最優先事項とし、最新世代の冷暖房換気システム、前衛的なワークステーション、ビデオ会議室が備えられています。自然光と換気により感覚的にも心地よく、大きな窓から周りの景色が眺められ、精神的にも身体的にも快適です。
照明デザインには様々な専門家が関わり、綿密な研究がなされて建築設計過程で重要な部分となりました。天文学的タイミングシステムにより地域の日の出・日の入りに合わせて建物すべての照明の点灯・消灯が行われ、夜間照明の管理はまた別の研究に基づいて行われています。
生産施設、エグゼクティブオフィスとも音響設計も綿密に研究し、防音対策のできた心地よい環境になっています。
Ferrettiグループスーパーヨット造船所の全てがソーラーパネルとトリジェネレーションプラント[1]から生成される再生エネルギーで稼働しています。
インテリアデザインのコンセプト
総体的な建築アプローチに従い、インテリアデザインも完全オーダーメイドとDNA に刷り込まれた芸術・工芸のノウハウというブランドアイデンティティを表現しています。新しいインテリアデザインコンセプトは60年に渡るCRNのスーパーヨットの一隻一隻に不可欠な要素として存在するオーダーメイドアプローチ、優れた職人技、イノベーション、時代を超越したデザイン、機能性を持ったカスタムメイドが反映されています。金属、ガラス、レザー、木材、大理石などの高級素材を使い、あらゆるディテールにまで細心の注意を払って作られています。
ムードカラーには2つのトレンドがあり、一つはエントランス、階段、ロビーに使われている暖かみのあるコニャックの色調、もう一つがエグゼクティブオフィスとミーティングルームのエアフォースブルーの色調です。 素材の全てをマルケ地方特有の職人技を用いて製作し、他に類を見ない世界に認められるイタリアンスタイルになっています。
伝統、革新的リサーチ、ディテールへのこだわりがイタリアの職人仕事の主な特徴であり、彼らが作り出す家具や調度品の高品質さやオリジナリティには突出したものがあります。これらすべてがメタル造船に特化したアンコーナの歴史ある造船所の造船文化と完璧に一致し、ゲストと従業員に向けての細心の気配りと献身、情熱を込めた特別な空間を創り出しています。
当社の全オーダーメイドというアプローチを踏襲し、Ferrettiグループメタルスーパーヨット部門の新エグゼクティブオフィスの家具や調度品はすべてカスタムデザインで地元の大工の手で製作されました。すべてのオーダーメイドアイテムのベースにカナレットリガティーノウォールナット材を使用し、それに他の多くの素材(テキスタイル、壁紙、レザー、メタル、樹脂) を組み合わせ、非常にダイナミックな室内装飾になっています。一つ一つのアイテムのディテールが空間内でナチュラルに統合し、CRNおよびFerrettiグループのメタルスーパーヨットすべてが持つ哲学を反映しています。
世界のプレジャーボート界のベンチマークとなる特別なボート造りに対する名声、造船所60年の歴史に培われたノウハウの全てがこの貴重な新建設プロジェクトに引き継がれました。この洗練されたエレガントな環境はオーナーやゲストにアイデアやインスピレーションをもたらし、従業員には日々の業務を快適に機能的に遂行してもらえます。
[1] トリジェネレーションプラントで電力消費量の79%まで、生産エリアの冷暖房に必要な熱エネルギーを32%まで削減、製造に一定の温度管理が必要なアンコーナスーパーヨット造船所の年間一次エネルギーの最大20% を節約する。造船所には太陽光発電システムも備え、照明はLED技術を使いエネルギー効率と持続可能性を向上させている。