Wally、レーティングのコンセプトを凌駕するワンデザインレースモデルwallyrocket51を発表。
2023年9月19日モナコ - Wallyのセーリングヨットは常にスタイルとイノベーションのアイコンとなり、パフォーマンスのベンチマークとして、伝統的な考え方を覆してきました。そして今、知識、センス、精密さ、情熱がブランドの新しい方向性を示す新デザインに注がれています。それはワンデザインクラスのスリルが楽しめる船でありながら、低いレーティングでIRCやORC のレースでエリートたちを抑えて表彰台の頂上に駆け上がれる、世界で最も速いレースボートを創るという目的で生まれました。それがwallyrocket51です。
船体長15.5メートルのwallyrocket51はクラシックな 52フィートカテゴリーに収まり、TP52よりわずかに短いながら革新的な機能、超軽量の排水量、徹底的に精錬された船体で他の船を打ち負かします。更に、Wallyデザインチームはwallyrocket51のデザインを、アメリカズカップでの戦歴に飛びぬけた結果を残し、TP52世界選手権での12回連続優勝や、ORCワールドチャンピオンシップ、Rolex Maxi Cup、その他多くの大会の優勝ヨットを製作したBotin Partnersと協働しました。
“Wallyの考えは、 純粋なレース用であり、ハイテクでたくさん楽しめ、しかもIRCのORCレーティングルールに則った高い競争力のある非常に厳密なワンデザインクラスを作るというものでした。” とBotin Partners Naval ArchitectureのパートナーAdolfo Carrauが言います。 “これを出発点に、私たちは52フィートの設計を始めました。このサイズをよく知り、どんな海上コンディションでもどんな条件下でも競争力があるサイズであると証明されていたからです。しかしwallyrocket51デザインの最初の秘密は、”と彼はニヤリと微笑みます。 “それが52フィートではなく51フィートであるということです。”
これは最重要ファクターです。船体、水中付属品、セールプランを最適化することでレーティングのボーナスが得られ、それを他の要素に回せるからです。測定条件での排水量がわずか6.3トンであることもその一つで、これにより最軽量のレーシングボートとなり、wallyrocket51は非常に反応性が高く、ダウンウインドで素晴らしく速く、敏捷に滑水します。しかしこれはアップウインドで不利になることになりかねませんが、wallyrocket51は 2007年のアメリカズカップを制覇した、キールの後縁に取り付けた調整可能なトリムタブという機能を採用し、小さなキールステムプロファイルにアップウインドの巨大な揚力を生むことで抵抗を減らし、ニュートラルな風圧角が得られようにしています。水流と船が並ぶことで船体の抵抗力が大きく減じられ、喫水線の短いwallyrocket51でも他船よりも鋭角に、早く航行できるようになります。
更に、世界で最も強いセーラーの一人Vasco Vascottoとアルゼンチンのスポーツボート界のエースGuillermo Paradaが製品開発者のアドバイザーを務めました。少人数クルーでも扱いやすく、楽しくセーリングできるwallyrocket51を実現するために、彼らのオリンピックやアメリカズカップでの経験が大いに役立ちました。未来のwallyrocketワンデザインシリーズを定義するのに、彼らは根本的な役割を果たしました。
“私たちが作ろうとしているwallyrocket51は誰もが探し求めるヨットです。それはあらゆるレガッタレースでパフォーマンスを発揮し、それと同時にデザインの美しさを持ち、楽しく、近代ヨットの基準を尊重し、できればそれを超えることのできるヨットです。” とVasco Vascottoが言います。
“Wallyに新クラスを開拓し、世界中の他クラスの最も競争力のある船に対抗するワンデザインボートの開発に取り組むのは非常に興味深いチャレンジでした。” とGuillermo Paradaが付け加えます。“最終結果には非常に満足しています。速く、競争力があるだけでなく、技術的にも進化し、すべてのWallyと同じように操縦が容易で、快適な航行ができるようになっています。”
wallyrocket51は11名のクルーのみでレースに参加できます。後方にあるウォーターバラストシステムは立ち直り時の補助だけでなく、よりニュートラルなピッチを供給して船体の耐性を高めます。 システムは容量550リットルで、フル充填に80秒、排水に60秒、左右への移動に10秒しかかからず、どんなコンディションでも簡単に微調整できます。キールトリムタブとウォーターバラストの組み合わせが巧みに設計されており、長さと排水の利点の組み合わせで起こるレーティングの低下を上回るパフォーマンスが得られるので、wallyrocket51はレースコースのどのポイントでも優位に立てます。
デッキにおける人間工学も少人数クルーであることを考慮し、インテリジェントなスイッチングシステムのお陰でメインセールの調整から油圧まですべてにツインのグラインダー台が作動します。 船中央のグラインダーを電気モーターにして、ショートハンドレース時のウィンチの動力にすることも可能です。
“このサイズに対する今日の競争状態の中で必要とされる新ボートの創造アプローチとして、このプロジェクトは本当にユニークなものです。wallyrocket51は私たちの中心プロジェクトで、世界のどのレガッタでも優勝できるものを開発するため、何年も取り組み続けました。”とWallyのマネージングディレクターStefano de Vivoが言います。 “そして遂にそれを実現することが出来ました。そして世界がwallyrocket51のプラットフォームを見れば、大注目することと思います。これは最高水準のレースを愛し、なおかつレースを新しく愉快な方法で楽しみたいオーナーにとって魅力的な船となるでしょう。”
デザインチームは52フィートのレース場に関しても深い知識を持ち、この設計が混戦の中でうまく機能するのは明白です。wallyrocket51が究極のコース設定のマエストロとして造られていますが、能力はそれだけではありません。私たちは6ノットから25ノットの追い風・向かい風、Rolex Middle SeaやRolex Giraglia、RORC Caribbean 600またはFastnetのようなクラシックな600マイルオフショアなど、あらゆる場面を検討しました。”とCarrauが説明します。“この船は多様性に富み、アップウインド、ダウンウインド、リーチングいずれでもよく走り、ISO Cat-Aに準拠しているのでどんなオフショアレースにも対応できます。当社のシミュレーションでは、 IRCやORCを始めとするどんなインショア・オフショアのレースでも他船に負けない結果が出ています。”
Wallyは、家族でクルージングを楽しみながら、レガッタレースで表彰台に立てるようなワンデザインのレーシングボートをオーナーにお届けできるwallyrocket51を創りました。造船所はこの先進的な設計開発をするのに一年をかけました。楽しさとスポーティさが効率よくバランスのとれた新モデルは、船乗りの間で大成功を収めること間違いなしです。
wallyrocket51には実証済の最先端素材と手法が用いられています。船体はCorecellプリプレグカーボン製で、デッキのコアにはNomexが使用されています。リグはSouthern Spars社の高弾性炭素繊維製で、スタンディング・リギンはFuture Fibres AeroSix社製。セールの面積はアップウインドで163.9㎡、ダウンウインドで261㎡。ウインチはHarken Air Winchで、ピット内のジャマーはSpinlockです。
“すべてのWallyと同じように速く、楽しく、スマートで革命的です。”とWallyの創始者でありチーフデザイナーのLuca Bassani は熱弁します。“ドラマチックなリバース・シアーライン、フラッシュデッキ、長いバウスプリットのwallyrocket51は明らかにWally ファミリーの一員です。そしてWallyの DNAに忠実に画期的なイノベーションを採用し、最も競争力のある船であり、かつ既存のワンデザインクラスのものと比較して年間ランニングコストを削減した船になっています。”
第一号wallyrocket51はすでに建造に着手しており、2024年にお披露目できる予定です。